「大椎図」平久保のシイ(ぴりくぼのしい)

東京都多摩市 2009年 158cm×158cm

2007年に一度仕上げていた作品ですが、どうしても気に入らないので、
さらに2009年に描きなおしました。これで完結です。(2009年1月)

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五年くらい前だったでしょうか。このシイの樹を描こうと思ったのは。
描きはじめたのが2年くらい前、途中でいやになって投げ出したままになっていました。それを、「とにかく仕上げなきゃ」と思い、
なんとか、完成にこぎつけました。本当に「こぎつけた。」という感じで。

絵を描いている人には理解していただけると思いますが、しばらく描いていると、絵自身が「こういう風にしてほしい」と発言しはじめるので、「ふんふん。そう描いて欲しいのかい。はいはい。」と描くことになります。絵は、僕と画面とのインタラクティブな会話を通して出来上がってくるので、僕と画面の共同制作という感じなのです。最初の白紙に一筆目を入れる時だけはそれがないので、結構勇気がいるのです。僕自身がそれに責任を追わなければいけないから。でも、それを過ぎると共同制作になります。だいたいの場合、この絵自身が喋り出すのを待ってさえいれば、後は自動的に会話をし始めるので、ある意味楽なのですが、たまに、ほんとにたまに、絵が何も喋ってくれない場合があります。
その時は、僕もおもしろくないし、あせるし、先に進まないしで、すごくしんどくて・・・。

で、今回はまさしくそれでした。「とにかく仕上げなきゃ。」そればかりで描いたので、描かなきゃいけない「苦行」と描きたくない「さぼり」の結晶みたいな絵になってしまって、僕自身としては結構不本意なのですが、それでも、完成した時のとりあえず、荷物をそこに投げ出す時のような充実感と開放感はありました。
ただ、いつも思うのは、こういう時もがんばって最後までやれば、この作品については、不本意ですが、次のステップのようなものが見えて来るような気がします。
ぼんやりとですが。
それは、この荷物を途中で投げ出しては、見えてこなかった「像」だと思っています。(2007年1月)

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デッサン

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