久しぶりに上田葉介さんの個展を拝見しました。
一言でいえば、「絵らしい絵を観た」という充実感があった展覧会でした。
「絵らしい絵」なんて言い方は不遜かもしれませんが、あえて、そう言いたいと思います。
昨今、絵を描くということが、
ショウ・アップしていたり、賞ねらいだったり、ここぞと目立つ絵を描いていたり、
先生の受け売りであったり、技術の披瀝であったり、
つまり、「自分を見つめながら、同時に絵と向き合い、画面を形作って行く。」
という、シンプルな「絵を描くという行為」が置き忘れられている様な気がいたします。
彼の作品にはそういう絵を描く原点がしっかりと表れていて、
そんなシンプルな行為とその展示を観ていたら、
「自分が何をやっているんだろう?」とはっとさせられると同時に、
「絵ってこういうもんだよな。」と、ほっとさせられたました。
公募展の悪い面(もちろんいい面もあると思いますが。)に食傷気味だった僕に
絵を描くことの原点に立ち戻らせてくれたようなさわやかな展覧会でした。
それにしても、こういう作品って、現代の日本の美術シーンにおいて
ちゃんと評価する、あるいはできる評論家なりメディアなりがいるのかしらと
不安になってしまいます。
呑気に人の心配している場合ではないのですが。
それにしても・・・。