北金が沢のイチョウ
青森県西津軽郡深浦町北金が沢字塩見形
2005.8.1

根岸の大イチョウ
青森県上北郡百石町字下谷地9
2005.8.1

7月の30日から4日ほど青森に樹を描きに行って来ました

目的は「日本一」と言われている北金ケ沢のイチョウの樹ですが、実はその前に、同じ青森の百石町にある
もう一本の「日本一」のイチョウも見ました。

看板には、こちらも「日本一」をうたっています。なぜ、2本の「日本一」があるのでしょうか?
どうでもいいような話ですが、ここは、少しそれにこだわってみることにします。

北金ケ沢と百石町の2本の樹を比べたときに、軍配は、誰の目に見ても、100人中100人が
北金ケ沢のイチョウを「日本一」というでしょう。
樹全体の大きさ、勢い、印象どれをとっても北金ケ沢のイチョウが格段上です。別格といっていいでしょう。

では、なぜ、百石町はそのイチョウを「日本一」とうたっているかというと、その根拠は昭和63年に環境庁が行った調査にありました。
そのとき、北金ケ沢のイチョウが調査から漏れていたために公的にはこちらが、「日本一」で報告されてしまったのです。
その後、北金ケ沢のイチョウは昨年、国の天然記念物にも指定され、名実共に「日本一」なので、
百石町はそれを譲っても良さそうなのですが、なかなかそういかないところがそれぞれの町の事情があるのでしょう。


この樹は、イチョウ公園の中にあるのですが、そこには、もう一つ「日本一」があります。

それは、「日本一のニューヨークにある自由の女神の銅像」という、なんだか、ややこしい「日本一」なのです。
いわゆる、竹下総理のときの「ふるさと創世基金」で、一億円を、もらったときに
それで、自由の女神の像を造ろうということになり、いろいろちなんで、4分の1の大きさで作ったそうです。
(と書いてありました。。)
それが、全国にそれ以上の大きさの像がないということで「日本一」を自称したということのようです。



その日、僕は八戸から入り、海岸線を車で北上しました。
その間の風景は決して心温まるものではありませんでした。

ほとんどの車が、広い道路を100キロ近いスピードで走っています。
まず、見えてきたのは、港に停留している自衛艦。ここは、三沢の自衛隊基地のそばです。
しばらく、走ると原子力発電所が左手に見え、高い柵で囲まれています。
またしばらく行くと今度は、煙をもくもくと吐く高い煙突のある製紙工場。さっきから、臭いなと思っていたのはどうやらこれのようです。
やっと、百石につくと広々とした、きれいに整備されたイチョウ公園。芝生の上でお年寄りがゲートボールをし
大きな体育館や、テニスコート、遊具が立ち並び造形された岩のある池や、遊歩道。
その中心に、「日本一の自由の女神像」とそして、日本一のイチョウの樹。
町の大きさに似つかわしくないそのたたずまいが、
その町の置かれている今の状況を語っているような気がします。
(ちなみに、この先、数十キロ行ったところに、あの有名な六ヶ所村があります。)

もちろん、この話は僕のあくまで印象なので
本当のことはわかりませんが、要はそういう感じを抱きながら
イチョウの樹を見ていると、あまり、楽しい気がしなかった。という事実なのです。

調査漏れした環境庁の情報をもとに
日本一を譲らない、その町の姿勢が、あちらこちらに見え隠れし、見て楽しむと言う気分を、確実にそいでいるということなのです。
樹を見るのは、その樹がもっているエネルギーに出会って、その気から何かを得たいから見るで、日本一だから見る訳ではありません。

どの町にも、それそれの事情があり、それぞれの思惑があるのでしょう。

それが、何を物語っているかはわかりませんが、樹に対する愛情と、それは別物であるということと、
もっと言えば、それを阻害することもあるということです。

先日、岐阜で見た、山中で枯死していた松の巨木。


この2例だけで「一事が万事」風に語るのも乱暴と言えば乱暴かも知れませんが・・・。

百石町の「日本一」の樹のすぐ裏にそれなりに、大きなイチョウの樹がありました。
そちらも株立ちはしていますが、幹回り10メートル近くはあるのではないでしょうか。

そちらは、大きな枝が地面に落ちたまま腐っています。何本も枝を伐り落としたものが、
そのへんに無造作に積み重ねていて、いかにも、粗末に扱われている感じで、寒々とした中にその樹は立っていました。

日本一のイチョウと、そうでないイチョウと・・・。

                                    (日本画家伊東正次の襖絵)

日本一の根岸の大イチョウ
こちらがもう一本の日本一。北金が沢のャCチョウ。るで樹の壁です。凄い。い。まるで樹の壁です。凄い。
*左はじに見えるのが人です。子供ではありますが、これが一本の樹かと驚きます。
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