この日は国分寺を夜中の1時くらいに出発して、5時くらいにいわき市到着。それから描いたので、昼くらいに、田人にある石割桜の樹のスケッチが終了しました。
					今までスケッチは一日に一本と決めていたのですが、(決めるというより、それしか描けなかったのですが、)平岡先生は何カ所も回って描かれるそうで、
					僕ももう一カ所くらい描けるかなと、急遽、近くの桜を訪ねることにしました。
まず、車で走っている途中に、「あれっ」と思って車を止めて観たのが、「黒田のしだれざくら」。
					これは、幹こそ、巨樹の風格とまでは言えませんが、花が咲いた時のその全体の姿は美しいのだろうと想像させる樹形でした。
					こちらも、樹のすぐ下を道路が通っていて、良くも悪くも、「桜の樹一本くらいどうってことねえべ。」という感じで、桜の巨樹が普段の生活の中にあるという気はします。
					観光化されていないとも言えますが、でも、もう少し大切にしてもらえればと思わなくもないような。
					(壊れた交通標識が樹の根本の大きなウロの中にぞんざいに投込まれているし。)
					
					
					で、この樹は写真撮影に留め、もう一本の樹、やはりいわき市にある大運寺にあるシダレザクラを観に行きました。
					この樹はインターネットで掲載されていて、この日訪れたのですが、その写真には、幹が空洞になり、そこにたくさんの枝らしきものが見えていました。
					もしかして、気根かなと想像はしていたのですが、訪れて驚いたのは、高さ、4、5メートルのあたりから主幹を埋めるように、
					太い数本の気根が、地面まで伝わり降りているのでした。
					その根っことも枝とも言えない様な気根が、朽ちかけた周りの主幹の内部を埋め尽くしている様は、
					まるで人間が塑造したオブジェのようにさえ見えました。自分の体を生きさせるために、枯れた幹の内部を伝わって、その根っこを伸ばしている姿は、
					石割桜同様、旺盛な生命力を感じさせます。いちょうは気根が有名ですが、これだけ大きな桜の気根は初めてです。
スケッチの途中、近所の人が訪れて、立ち話をしている中で、だいぶ前に樹勢が衰えて、回復手術をしたとのことでした。
					それがどのような施術だったのかわかりませんが、もし、そのさいに気根を施したとしても、相当大きな根っこになっていることを考えると、
					かなり前に行われたに違いありません。
					こちらも、名だたる福島の他の桜の巨樹の陰に隠れて、あまり、知名度はありませんが、お勧めの一本です。
					是非満開の時期に訪れたいと思いながら、夕方5時にスケッチを終了させ帰路の途につきました。
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2010.8.1   伊東正次
				
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