箔押し(箔を貼る)

 箔を画面に貼る作業を「箔押し」といいます。箔には金箔、銀箔、プラチナ箔、銀箔を焼いた黒箔、アルミ箔などさまざまあります。普通、画面に使用するのは金箔では金の純度の高い赤みを帯びたものと、銀の含有量の高い青みを帯びたものがあります。その時のイメージで使い分けると良いのではないかと思います。
 また、銀はプラチナ箔、銀箔、アルミ箔とありますが、一番のお勧めは変色しないプラチナ箔です。変色しませんが、当然かなり値段の高いものですので、お金に糸目をつけないなら、これで決まりだと思いますが、懐具合を考えてという場合は、銀箔かアルミ箔になります。僕は銀箔を使います。アルミのほうが箔の光り方が、ピカッツといかにも金属という感じなので、あまり好きではありません。その辺は比べてみると良いかと思います。いずれにせよ、酸化して変色するので上からドーサ液や、膠液を塗る必要があります。先の金箔のところでいい忘れましたが、金箔も純金箔でない場合は、変色しますので、ドーサをひく必要があります。最近では定着液(フィキサチーフ)でもいいようです。この作業を忘れると2、3週間もすれば、変色してきてだんだん黒ずんできますので、必ず忘れないようにしなければなりません。(アルミの場合は急激に変色することはないと思いますが、使ったことがないので、わかりません。)特に、一度ドーサをひいたつもりが、ドーサそのものは透明なので、かかっていない部分が残っていたりして、変色する場合がありますので、十分注意が必要です。また、箔を焼いて、黒くしたい場合は、自然に放置しておくと、車の排気ガス等で黒くならないで黄変するそうなので、硫黄を使って焼く必要があります。ドーサをかけた部分は変色せず、ドーサをかけない部分だけが黒く焼けるので、それを使って絵を描くことができます。興味のある方は挑戦してみて下さい。
 以下に箔押しの工程を説明していますが、特に箔をあかす作業は、正式な方法ではありませんので、あくまできちんとやりたい方は、椿油などであかしてください。これはあくまで簡易な方法です。やり方によっては、水がついた部分とそうでない部分に乾燥してから、やや、光にかざすと線の模様が残る場合があります。僕の場合、特段、気になるようなことはありませんが、正式な方法ではありませんので、悪しからず、自己責任で作業をお願いします。
まず、用意するものは、
1、膠(僕は最初は濃く、少しずつ薄くしてゆく)と筆
2、水と面相筆
3、箔が手につかないような粉(シッカロール、ベビーパウダーなど。僕はストップパウダーという粉末を使っていますが、要は、指先の油で箔が指につかなければいいので、粉状のものであればなんでもいいのではないかと思います。ない時には、胡粉や小麦粉を使ったりしていましたが、これはいいかどうかわかりません。)
4、銀箔
 箔を貼る部分にだけ膠を塗ります。(僕の場合は3回塗ります。)
 もしくは、マスキングシートで必要な部分以外はマスキング(覆い)をします。
 その場合、全体にマスキングシートで覆っておいて、必要のない部分をマジック等で囲み、必要のない部分はカッターで切り落としてしまいます。そうすれば、全体に膠を塗っても、あとで、マスキングシートを剥がせば、シートのかかっていない部分だけ箔が貼られています。一長一短あって、マスキングをする場合は手間がかかります。マスキングをしない場合は箔のエッジが丸くなり。シャープな感じには仕上がりません。ちなみに、マスキングシートというフィルムが売られていますが、粘着材がついているので、たまに画面にくっついてしまうことがあるので、僕はクリアファイルなどのビニールシートをつなげて使っています。若干厚みがありますが、あまり薄いとふにゃふにゃして扱いにくいので、少し厚手のものの方が扱いやすいかもしれません。工夫してみて下さい。
最後に膠を塗る時はどこに塗ったかわかるように、膠に墨を混ぜて塗ります。
箔はいわゆる「あかし」をしないで、水であかし紙の上からばってんを描き、僕の場合はさらに丸を描きます。
これで、水が乾かないうちは、箔と紙がくっついてます。
箔が指先にくっつかないよう、指先にベビーパウダーなど水分をとるための粉をつけ、箔のはじとはじを持って、画面に移動します。
ねらいを定めてそっとおろします。降ろしたらすぐに、乾いたタオルで軽く押さえます。
そして、次の箔の部分に膠を塗ります。そのさい、今、貼った箔の上も五ミリくらいかぶせて塗ります。
そうしておけば、箔と箔の間に隙間が出来ません。
乾燥したら、余分な箔を乾いたタオルで落としてやり、箔のつきの悪いところは、もう一度箔を貼ります。さらに、箔が乾いたら、忘れないように箔の上から「どうさ」もしくは「薄い膠」を塗っておきます。そうしないと、1年くらいで箔が黒くなってしまいます。次の箔の部分に今貼った2、3度塗っておくほうが無難かもしれません。
以上で完成。

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