黒藤川の岩スケッチ

(愛媛県上浮穴郡柳谷村黒藤川)
2003年8月

一昨年、描き途中で時間切れになっていたスケッチを完成させました。
一昨年描いたところにきて、もう一度岩とスケッチを見比べてみると、形が全然違うので、こんなにデッサンが狂っているのかと落ち込んでいたら、
今回の長雨で水量が変わっていて、この画面の下3分の一が水の中にあることに気がつきました。
そうやってみてみると、だいたいあっていて、やや安心した反面、
石の総体に対して細部の意味をもう一度確認することになりました。

じぃーと、石を見ていると石の影はどんどん変化してゆきます。
と同時に今描いている石の形が実は石の上の光の変化だということに気がつきます。
石を描くということは、光を描くということかもしれないし、
光を描いていても、石は描けないんじゃないかとも思うし。

光との追っかけっこ。刻々変わる光をどこでとめるのか。
写真はその時をとめることができるけど、絵はとめないまま、全部を感じて描くことになってしまいます。
とめるのか、とめないで永遠を感じるのか。あるいは、とめて永遠を感じるのか。

わからぬまま、描きすすめます。


結局、絵は自動的に完成に向かい、ここにいられる時間は終わろうとします。
「石の前に3年。」まだまだ、見えて来ません。

とはいえ、一つわかったことは、石の上に寝ると気持ちがいいこと。
自分の体にあった岩の上に寝ると石はひんやり柔らかく体を鎮めてくれます。
石って全然硬くありません。本当に。

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83cm×96cm

一昨年、描き途中で間に合わずそのままになっていたスケッチを今回完成させることができました。
前にきた時には道があったのですが、今回初日はその道を見つけることができず、雷の音も気になるので引き返しました。
案の定、大雨になりました。翌日、再トライ。途中のところで、道を間違えているのに気付き、今度は大丈夫。
一昨年マムシに出くわしたところも、今回は姿も見ないまま、川っぺリへ。一ケ所、川に降りるはしごが腐っていて、
来年はダメかも知れません。水の流れが変わったらしく、前回は魚のいたところも、陸地になっていました。
(まあ、これはこれで、スケッチには助かるのですが。)

 

3日間でなんとか完成に漕ぎ着けました。
全体で一週間から十日くらいだと思います。

光との追っかけっこをしていると、いつそれをとめるか、とめないと全体の形がチグハグになって来てしまいます。

前回は見えていた部分が、今回は水の中に。

前回はもっと近くから描いていましたが、今回水が増えていて。近くに辿り着きませんでした。ずーっと遠方から描くことに。