このころは、大学を卒業して久しぶりにスケッチを始めた頃だったので、相当横着な描き方をしていました。
スケッチを再開し始めたきっかけは、「たまたま展」で伊藤先生と出会って、
彼から「スケッチをしてごらんなさい。」と言われて、半信半疑でやってました。
最初は、何も期待せずに描いていたのですが、描く度に、小学生の頃、図鑑を写すのが好きで、
その描くと言う単純作業の中に喜びがあることを思い出して、それだけで楽しかったのです。
それまで、コンセプトも持たないで、単純に何も考えないで描くことは、いけないことだと思い込んでいたのが、
なんか、さーっとほどけたというか、これはこれでいいんだ。
という感覚に救われる思いでした。
それからは、日本画を描くとか、芸術的な行為とか、そういう思いから離れて、
単純に写すという行為に没頭することになります。
その、最初になったのが、この松のスケッチでした。
1995年