十六羅漢図(部分)

        

いつもと違った意味で大変苦労しました。人物は難しいというのが正直な感想でした。

羅漢さんを求めて、あちこち歩きました。
それぞれの羅漢さん興味深く、拝見させていただきましたが、
特におもしろかったのは
川越喜多院、京都石峰寺、宇治万福寺です。
今度、紀行に掲載しようと思います。

喜怒哀楽をいかに表現するか。ドングリ亭のみなさんのキャラクターを参考にさせていただきました。

また、悩んだのは、どの時代風俗にあわせるかということでした。
羅漢さん信仰は中国で始まったため、多くの、羅漢図は中国風に描かれているわけですが
もともと羅漢さんはお釈迦様のお弟子さんなわけですから、お釈迦様の時代にあわせるのか。
そのあたりが一番迷いました。
日本にある羅漢図には、ある羅漢さんが巻き物をもっていたりするのですが、
もし、お釈迦さんのお弟子さんなら、そんなことはあり得ないわけです。

が、それぞれの羅漢さんの性格付けが、そういった持ち物や脇にいる動物たちで
成り立っているので、結果的には、服はインド風。持ち物は中国風という折衷案になりました。

まあ、自由に空想する所に、
羅漢さんのおもしろさがあるのかもしれないかもしれません。

また、十六羅漢図には多くの動物が出てきますが、
これはほとんど描きませんでした。
性格付けよりも、羅漢さんのたたずまいを優先することにしました。
普通に生きている人物としての、羅漢さんという側面を描きたかったからです。
ただし、動物とのコミュニケーションの一端をかいまみせるために、小鳥だけ描きました。

描いた本人が、この羅漢さんのように「うーん、難しかった。」という感じです。

「十六羅漢図」190cm×446cm  紙本着彩

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