岩もう、だいぶん前の事であるが、絵を描くためにトルコでひまわり畑を訪ねたことがある。
その日は、あいにく曇っていて、いわゆる、太陽の光が燦々と降り注ぐ向日葵の図を見ることはできなかったが、
その代わり、曇り空の下、延々と続く向日葵畑に、立ち枯れた向日葵の一群を見つけた。
それらの花達は立ったまま枯れており、まもなく、刈り取られ向日葵油をとられる。そんな運命だ。
写真をとるために、畑に立ち入る許可をもらい、背丈ほどもある向日葵畑に足を踏み入れる。
夢中で写真を撮っていると、ふと、背後に誰かの気配を感じる。振り返るが誰もいない。気を取り直し、写真を撮る。また、後ろに誰かいる。
誰もいない。何回かあるうちに、その気配は、立ち枯れた向日葵のモノであるのに気がつく。
当たりを見渡すと、黒い顔をしたゾンビ達がゆらりと立っている、ここかしこに。彼らの群れの中にひとり立っているような恐怖感を味わう。
暗かったせいもあり、そそくさと引き上げる。太陽の花のはずが、こともあろうに・・・。
が、太陽に光りがあるということは、影もあるということだ。向日葵の影の側面を見たのかもしれない。
180cm×434cm 1992年
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180cm×651cm 1992年
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180cm×434cm 1992年