滝前不動のフジ

宮城県川崎町 2001年7月28日

昨年フジを観に宮城、埼玉、東京と回ったことがある。

奥州の蛇藤(宮城県村田町)、不動堂の藤(宮城県柴田町)、牛島藤花園(埼玉県春日部市)、久伊豆神社(埼玉県越谷市)
骨波田の藤(埼玉県児玉町)拝島公園の藤(東京都昭島市)とここ、川崎町の滝前不動の藤である。

以前、松のところで、野生型と盆栽型ということを述べたことがあるが、藤にも、それがある。

というより、もっとはっきり分かれる。

藤の場合は、棚を作るか作らないかで、両者の違いがはっきりするからである。
牛島藤花園、骨波田の藤は盆栽型で、奥州の蛇藤、不動堂の藤、滝前不動の藤は野生型。久伊豆神社はその中間である。

もちろん、盆栽型は盆栽型の良さがあるが、(優美である。)惹かれるのは、野生型である。棚がないために、手当りしだい、近くの登れそうな樹を見つけ、
それを締め上げながら、あるいは、自分自身の他の枝を足掛かりに、ぐるぐると巻き付き、四方八方にのびてゆく。

なんとも、その姿は、怨念めいた情念を感じさせる。

それら、野生型のなかでも、ひときわ、強烈なのが、この滝前不動の藤であった。
自分自身の重圧にたえかねて、幹のあちらこちらを腐らせながら、先端部分では可憐な花を咲かせている。情念的でかつエネルギッシュ。

ただ、必要とはいえ、幹のあちこちをセメントのような補修剤で補っている姿は、興醒めである。もっと、観たときに違和感のない補修剤がないのかと思った。

今回は、あえて、花の咲いていないこの時期にやって来た。2日間で描いたが、時間が少なく、できれば、花の咲く頃もう一度描きに来ようと思う。

60cm×180cm

部分

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