チューリップ

「咲いた咲いたチューリップの花が

並んだ並んだ赤白黄色 どの花見てもきれいだな。」

子供の頃、花と言えばなんと言っても、チューリップだった。赤、白、黄色。

子供が絵を描くときに使う色そのものだ。歳を重ねるにしたがって、桜や牡丹、百合、秋草などに趣向が変化してくる。

そこに、大人としてのなんらか、感情移入すべきものがあるからだろう。

 でも、今でもチューリップの花が好きだ。絵を描く行為は、思っているよりも不自由なものである。

大人として絵に向かうときに様々な思惑が働いてしまうからだ。

そんなときに、チューリップを描くと、何か心が軽くなって自由になってゆくような気がする。

 花の命も流れる時間に逆らうことはできない。その重みにたえきれず、いつしか、地面にこぼれ落ちる。

もし、時の流れや重力から解放され、永遠に花を咲かせることができれば。

どこか、絵を描く行為は、自由と繋がっているのだろう。

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