牡丹

昨年の夏、仙台近くの金蛇水神社でボタンとフジを観た後、ボタンの株を一鉢買って帰ることにした。僕の運転する座席のすぐ後ろで、甘酸っぱい匂いとともに、蕾はみるみるうちに開きはじめ、家に辿り着くころには盛りを迎えていた。それからわずか数日、花を移動しようと持ち上げた瞬間、その花びらはばらばらと崩れるように散ってしまった。花には命がある。あたりまえのことを、実感させられた出来事であった。

 そして、花に命があるように、絵に命を吹き込むことができるだろうか。一瞬の輝きを永遠の命へと。

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